
このたび龍潭寺鐘楼堂前で井伊直政公顕彰碑の除幕式が行われる。その除幕式に先立ち記念公演として「井の国千年物語」が行われる。
これは戦国前期の井伊家の悲しい物語を映像と語りで綴るすばらしい演出だ。その物語と共に奏でられる笛も一流の奏者をお願いしてあるようで幽玄の世界を堪能できること請け合いだ。後半の除幕式からは関係者のみで行われるが、こちらの「井の国千年物語」の公演は自由に観られるとのことだ。しかも無料であるから自由時間のある人は是非ともお出かけ願いたい。
日時10月29日 午後1時より
場所 龍潭寺 客殿
入場料 無料
写真の絵は渋川の農民画家、伊藤信次さんの作品を写真に撮らせて頂いたのだが、これらの絵が映し出される。井伊家の悲しい物語とは渋川地区にある伝説だ。亀乃丞という当時9歳の子が父の死によって今川家から追われる身になり、縁のある信州市田郷の松源寺に逃がれた。松源寺の和尚や松岡家の人たちに暖かく育てられ、学問や武術を教わり、日に日にたくましくなり12年の月日が過ぎた。その間、故郷のことを思い出すたび、笛を吹き鳴らして、寂しさをまぎらわせていた。
やがて弘冶元年の春、井伊谷からの知らせでもう安全な所となった事を聞き帰郷することになった。帰路、井伊領の渋川にある八幡神社に、無事帰国を報告し、信州思い出の笛を奉納した。この時20歳の青年であったがその数年後亀乃丞改め井伊直親は再び今川の謀略に巻き込まれ、27歳の若さで殺されてしまう。
この知らせを聞いた渋川地区の人々が薄幸の貴公子を偲び形見の品として今でもその時の青葉の笛をたいせつに保管している。セレモニーではこの伝説から悲しく響く笛の音を再現して行う。