
夏祭りが近づいて来たので提灯を修理に出した。祭りの日に玄関先に家紋の入った提灯を吊るすのだが、ずいぶん古くなった。所々破けて、お化け屋敷の提灯みたいになったので観念して直すことにした訳だ。
電話帳で調べてみたら笠井の提灯屋さんがあったので連絡を取ってみると修理が利くか見てくれるとのことだった。地図で探して行ってみた。結局再利用するところは頭と底の輪っかの部分だけで1000円と違わないので新調し、文字と家紋を入れてもらうことにした。このほど出来上がった旨、連絡を頂いたので受取に行った。6畳ほどの作業部屋にたくさんの提灯が所せましと置かれいた。修理の途中のもの、出来上がったものなど吊るくってあった。すべて手書きによる作品なので少々値が張るが人気があるようだ。中にはアレンジして色々な模様が入ったり、花柄が入ったりとオリジナリティー豊かな提灯を頼む人もあるようだ。
職人さんというと堅物をイメージするが、話好きで、こちらが遠方の引佐からだと聞いて色々お話を聞くことが出来た。提灯屋さんを継承する前は別のお仕事をしていたようで、退職後に始めたようだが天性の器用さからか提灯に似合う素敵な字や家紋を描いてくれた。最後に今度この提灯を修理に来るときは、私はもういないと言ったが、末永く提灯屋さんを続けて頂きたいことだと思った。
今は提灯で町に明かりを灯すが前職も人々の心に灯火を灯すお仕事をなさっていたようだ。提灯を通じて、いい人との出会いをさせて頂いたが、こういう話を交えることが出来る商いが最近姿を消した。あらためて会話のある商いの良さを教えて頂いた思いである。